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舞台「いや むしろ わすれて草」鑑賞(5/25)

 今日から満島ひかりさん主演のドラマ「woman」が始まる。

脚本は坂元裕二さん(「それでも生きてゆく」「最高の離婚」等脚本)なので楽しみです。

 

さて、満島ひかりさんといえば、舞台「いや むしろ わすれて草」

観に行きました。2ヶ月前の話なので旬ではないのですが。

この舞台「若草物語」をベースに作ったストーリーのようです。

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「いや むしろ わすれて草(ぐさ)」作/演出:前田司郎。

 

この舞台を見るきっかけになったのは映画「横道世之介」。

横道〜の脚本を手がけたのが前田司郎さん。

映画パンフに[前田司郎→劇団「五反田団」旗揚げ…]とあり舞台中心に活躍している方のようです。

しかも今回の舞台、出演者が満島ひかり伊藤歩福田麻由子、菊池亜希子と豪華です。

 

劇場は青山円形劇場。

席が舞台に近い!(一番後列の席だったのに)

円形の舞台をぐるっと客席が囲んでいる。全体的にこじんまりした舞台で、舞台と客席が近いので、始まる前からドキドキしてしまった。(近いと緊張する。)

 

 

内容を簡単に…。

長女の一美(菊池)、次女の二葉(伊藤)、三女の三樹(満島)、四女の春菜(福田)。三女の三樹は病弱で入退院を繰り返している。現在と過去を行きつ戻りつしながら、三樹を取り巻く家族や人々の話。

 

始まりのシーンは、まだ三樹(満島)が中学生の頃の話。

ベットに三樹がいる。四女の春菜(福田)が叫びつつ走りながら入ってくる。春菜は5歳くらいの設定。ものすごいテンションで三樹に話しかける。

春菜役の福田麻由子ちゃん。いつもクールで知的な役柄が多かったので、このテンションの高い子供役に驚く。まさに子供のテンションMAX状態。動きも俊敏。

 

物語は過去から現在へ。舞台のベットと三樹はそのまま。春菜が大学生風な衣装で登場(もう落ち着いた感じになっていて、ほっとした)

 

四姉妹が、それぞれ「ちょっと〜聞いてよ、この前さあ」的な話を展開し観客が、その話を一緒に聞いている感覚になる。

姉妹が

「今日の夕飯何にする?(長女)」

「ワンタン!(四女)」

「ワンタンじゃおかずにならない!(次女)」

「ハンバーグも作るか〜(長女)」

「なんだか凄い組み合わせだな(父)」

みたいなやり取りが細々とたくさん散りばめられている。

 

 

やがて、(三樹は入院しているので)皆が、帰る時間となる。

「また明日くるね」と告げる。

三樹は、楽しい時間が多い分だけ寂しさが一気に押し寄せてくる。

皆の帰り際の声が遠ざかっていく時の三樹の悲しい表情が痛々しかった。

 

題名になっている「わすれて草」とは

わすれな草のこと。物語の中でその言葉は一度も触れられていない。

三樹の病院での友人の夕子さんが途中亡くなってしまう。

夕子さんは草花に詳しい人で最後の時、三樹にそのわすれな草(と思う)を託した。

 

【「忘れな草という草があって、私を忘れないでほしい草だときいた、でも忘れてもいいよと思う時があって、むしろ忘れてくれた方が気が楽」と思うことがある。(舞台ちらし参照)】

 

三樹が「家族が私の為に犠牲になったり我慢したりするの嫌なの」と叫ぶシーンがある。

長女の一美が結婚を断り続けているのは病気の父と三樹を思ってのこと。母は幼い時に出て行っている。

 

三樹の「忘れてもいいよ、でも忘れないでほしい」その両方の気持ちの揺れ、寂しさがぐるぐる渦巻く。その揺れを体感しているような感覚になる。

満島さんの演技にはいつも引きつけられる。「それでも生きてゆく」での熱演を思い出した。寂しさの中に家族を思う強さ、優しさが伝わってきた。

 

重苦しい事ばかり書いてしまいましたが全体的に笑いが多い舞台だったので見た後はどんよりとなりません。

四姉妹の話を一緒に聞く友人のような役になったような感覚になるからかも。

本当にいる姉妹のように感じ、日常の一編を見ているようだった。その日常の中にある寂しさや悲しさがリアリティをより感じさせた。

 

最後、答えは出ない終わり方で幕は閉じる。

「え?ここで終わりなんだ」と友人と顔を見合わせたほど。

(周りの人は別にびっくりしていなかったような…)

「答えはないです。そこにある気持ちを感じとってくれればいいよ」という作者の思いがなんとなくした。